「56」 1
1
「ついにあったな。今度こそお前に勝つ」
ドクロのような顔に黒いからだをもつ彼はいいました。
彼は人質をとっています。
その人は僕のとても大切な人でした。
僕は大きな白く鋭いはさみを自分の首にあて、「これでいいんだな」というと
骨までグリグリと切り裂きました。
しばらくすると、僕の体からどんどん力が抜けてきて
ついに倒れてしまいました。
僕は苦しくなってきて、「これで終わりか」とつぶやきました。
彼はこちらをじっと見て、「これで終わりか」とつぶやきました。
僕も彼と同じ見た目をしていました。
2
暗い洞窟にたくさんの恐竜がいます。
僕は素早く飛行していきますが、彼らは気づき、追ってきます。
3
気がつくと家にいました。
家は微妙にゆがんでいてノイズが走り、異様な雰囲気に満たされていました。
家具が一切なく、家の奥は朽ち果てた古い家のように陰気な薄闇が覆っています。
赤い透明な壁が家を囲んでいて家から外へ出ることができません。
部屋におぼろげに、青い水玉模様のソファーのようなものが浮かんでいます。
ソレが現れる前に逃げないと恐ろしいことになることが僕にはわかりました。
僕は網戸を突き破り、外へ出ようとします。
が、気がつくと僕はまた、おぼろげなソファーの前にいるのです.
ぼくはずっと前に同じ光景を見たことを思い出しました。
同じ夢を見たことを思い出しました。